もじゃくん(かけはし代表;廣瀬)が書いたコラムが、タウンニュースに掲載されています。
今回は第4~6回のコラムを掲載します。※第1~3回については既に掲載済みですタウンニュース掲載コラム1~3
「泉区版」のタウンニュースなので、読みたいけど手に入らない方も多いと思います。
そこで、ホームページでコラムを紹介させていただくことにしました。
それでは早速、vol.4から順にご覧ください。
vol.4「感受性」 タウンニュース泉区11/3発行
小学生の頃の私は、体は大きいのに気は小さく、ちょっとしたことでも不安に感じてしまう性格でした。1、2年生の時の担任の先生がクラスメイトを叱ると、まるで自分が怒られているかのように小さくなったり、「自分の一言が、誰かを傷つけたのではないか」「友達が悲しい表情をしているのは、自分のせいなのではないか」と、いろいろなことをネガティブに考えてしまう自分がいました(今でもそういうときがあります)。
「人一倍敏感な子」――。それはまさに過去の自分のことでもあるのですが、かけはしの居場所にも、敏感で、繊細な感覚や感受性をもった子がいます。その子をよく見ていると、人の心を読んで「この人はこうしてほしい」と考えて、自分の感情よりも他者の思いを優先して行動しているかもしれないと感じることがあります。傷ついてしまうことや心が疲れてしまうことも多いかもしれません。常に笑顔で、ユーモアがあって、いつも明るいその子が、内心は人の気持ちを常に察していたり、一人で傷ついていたりする、ということがあるのです。
そういった子どもたちに、わたしたちが居場所でできること。それは、その子のありのままの姿を認めることです。その子の「敏感な」感受性は、"優しくて豊かな感受性"であり、人一倍、他者に寄り添うことができるのです。「本当に優しいね」「心配だよね。でもきっと大丈夫だよ」というメッセージをその子に言葉やまなざしで伝え続けることで、その子自身が「自分は自分でいいんだ」という思いをもってほしいと思っています。
いちょうコミュニティハウスの居場所に、よく来てくれる三人兄弟がいます。一番上の子も小学2年生で、下の子二人はまだ幼稚園以下のお子さんです。その三人の子たちにとっても慕われている子がいます。よく泣いていた下の子二人も、その子のおかげで、今ではすっかり笑顔です。感受性が豊かな子は、きっと泣いている子の気持ちが人一倍わかるんだろうな〜。
vol.5「自己肯定感」 タウンニュース泉区版12/1発行
「自分は馬鹿だ」「自分は何でできないんだ」「自分なんて・・・」。自分のことを責め、自分で自分を傷つけている子どもたちがたくさんいます。人と比べて自分は勉強ができない、いつも誰かを傷つけている気がする、友達をなかなかつくれない、と自分の力や性格を否定するだけでなく
「自分はダメな人間なんだ」と人間性までも否定してしまう子がいるのです。
かけはしの"まなべる居場所"に来ている子の中に、ぽつんと一人で下を向き、うつむいてしまっている子がいました。何かあったのかなと思って声をかけると、その子は「みんなの輪の中に入りたいんだけど、どう声をかけていいかわからない」と涙ながらに答えてくれました。私たちはその子の思いに身を寄せます。これまでの学校生活や様々な人間関係の中で、傷ついてきて、それを乗り越えようとしているように感じました。その子にどんなに優しい言葉をかけても、どんなに励ましても、その子の心に届けることは難しいです。
時に私たち大人は無力です。その無力さを乗り越えることができるとしたら、それは「ただその子のそばにずっと居ること」でした。私は教員人生の中でもたくさんの無力さを感じながら子どもたちと懸命に向き合ってきましたが、その子のそばに居ることだけはできる。そしてその「一緒にいた時間」のたしかさと揺るぎなさだけは、時間が経っても互いの心に残り続けていきました。
vol.6「友達」 タウンニュース泉区版2/9発行(2023年)
かけはしの「まなべる居場所」には小学1年生から中学3年生までが"ごちゃまぜ"にいます。異年齢の関係の中で、年齢に関係なく、おしゃべりしたり、遊んだり、運動したりしています。いつの間にか、自然と仲良くなっているこどもたちの姿を見ていると、こどもたちの力ってすごい!と感心します。
一人の男の子は、とても社交的で、誰に対しても笑顔で関わることができる子です。その子には、いつも仲良しの3人組がいて、一緒に動画を撮ったり、一緒にカードゲームをしたり、一緒にご飯を食べたり、一緒に笑い合ったり、とにかく仲良しです。その子が「まなべる居場所」の時間が終わって家に帰ると、お母さんに「友達たくさんできたよ〜」と話したそうです。私は、その話を教えてもらったとき、すぐに仲良し3人組の友達と思ったのですが、違いました。その友達とは、ボランティアさんたちだったのです。
かけはしの"まなべる居場所"には、15歳以上の方から90歳になる方まで、総勢100人を超える方々が関わってくださっています。居場所の他にも、特別講座や農園活動などに関わってくださる方もいます。そんなボランティアさんのことを、その子は"友達"と思っていることがわかり、私はその子の感性に感動を覚えると同時に、ボランティアさんのあり方にも感動しました。
こどもと同じ目線で、思いっきり楽しんだり、一緒に汗をかいたり、一緒に喜んだり、一緒に話したり。大事なのは「こどもと大人」という関係ではなく、「人と人」なのだと思います。
もうしばらく掲載は続く予定です。
今後のコラムも、このブログでご紹介いたします!