毎回違った分野の魅力的な講師を迎えて開催している「こどもキャリア大学」は、第6回目を迎えました。
講師は、写真家の坂本貴光(さかもとたかみつ)さんです。

講師の坂本さん(写真左)。もじゃくん(かけはし代表廣瀬、写真右)

坂本さんと語り合う時間

第5回は今までと全く違った講座内容になりました。写真家である坂本さんの仕事や人生にはスポットを当てず、こどもたちと語り合う場になりました。

大人もこどもも混ざり合い、円くなって話をしました。今までと全く違った会場の様子に、大人もこどももドキドキ!
最初の議題は「なぜ学校に行くのか」。
講座の導入でフルーツバスケットをし、体や気持ちがほぐれたこどもたちからは笑顔が出ていましたが、いざ語り合う場になると言葉に詰まる姿がありました。そもそも、学校に行くことを疑問に思う機会はあまりないです。多くのこどもの答えは「親から行くように言われているから」。続いて「親にとっては義務、こどもにとっては権利」「勉強しないと大人になった時に経済が回らなくなるから」などの意見が出ました。

「経済が回らなくなる」という意見を受けて坂本さんから出た次の議題は、「働くとはどういうことか」です。こどもたち一人一人の考えを聞き、大人にも聞き、最後にもう一度こどもたちに「みんなの意見を聞いてどう思った?」と坂本さんは丁寧に聞き取っていました。

こどもたちから出たキーワードを議題にすることを繰り返し、場にいる全員が考えて、前半の1時間が過ぎました。

前半の板書。前半を終えた時には、いつも使っていない筋肉を使ったような疲れ方を、体全体がしているように感じました
最初は、意見を出せずにいた子や、大人が求めている答えを探しているように感じられる子もいました。しかし、繰り返し意見を言い、他の意見を聞くうちに、だんだんと「今の自分が思うそのままを言っていいんだ」という雰囲気が会場にできていたと思います。自分の意見を発表できなくても「みんなの意見を聞いてどう思った?」という質問に答えたり、議題に対して「難しい」「分からない」と答えたりする場面が見られました。

坂本さんが出した問題に答える子

こどもたちの「気づき」

休憩を挟んで、後半を開始。後半も議題について、「こどもの意見」→「大人の意見」→「こどもがみんなの意見を聞いて思ったこと」という型を繰り返し繰り返し続けました。

特にこどもたちの関心を引いたのは「学ぶとは何か」について。みんなの意見が出尽くした後に、坂本さんは「学ぶというのはこどものように受け入れること」と話してくれました。

また、反抗期について「受け入れに対して、こども自身の意見が出てきているということ。物事を広く見られるようになると、何を受け入れるかを自分で選ぶようになる」と坂本さんは説明してくれました。今反抗期を迎えているというある子は「反抗期は成長なのだ」と納得できたそうです。

その後も「夢はあるか」「夢が叶ったら次にどうするか」など語り合いは続きました。最後に振り返りカードに感想を書き、ひとりひとりが発表して後半の講座は幕を閉じました。

印象に残った言葉、感想を書き留めるこどもたち
後半の板書
事前打ち合わせで、坂本さんは講座の目的を「考えるを考える」「いろんな考え方を見つけに行く」「多面的な思考性を自分に取り入れる」「思考する練習」「こどもの『思考する』スイッチを押したい」など様々に表現し、話してくださいました。

こどもたちは「考える」ことに真摯に向き合いました。今まで得た知識・経験を総動員して考えた時間だったと思います。2時間の講座を通して、繰り返し考える姿勢がこどもたちの体に染み込んだように感じました。

また、今回の講座で、大人はこどもたちにわずかな変化を感じました。自分を開いて意見を発表し周りから受け入れられたことで、自信をつけた子がいたからだと思います。

坂本さん、ありがとうございました。生き物のように変化する講座を体験し、スタッフやボランティアも大きな学びがありました。

板書を見て、今日の講座を振り返る様子。たくさん語り合えたことに満足です!!
第6回は、映像プロデューサーでCEO、東京パラリンピック閉会式のプロデューサーとして活躍した経歴を持つ守屋貴行さんの講座が、3月26日に開催される予定です。午後には、後期振り返り講座も予定しています。

第6回だけの個別の申し込みを受付中です。
ぜひご参加ください。





写真・文=松本 裕美枝(かけはしライター)