かけはしでは、こどもの「やりたい」が実現することがよくあります。
今回は、まなべるいばしょに通う中学生の提案から、お茶会が開催されました。
中学生が茶道体験をリードする姿は、参加したこどもたちにとって憧れになったようです。

旧いちょう小学校の和室で、入れ替わり立ち代わり20名程のこどもたちとボランティアが、お茶を楽しみました。


お茶をたてている様子。茶碗に茶筅(ちゃせん)があたるシャカシャカという音が、和室を心地よい空間にしてくれました

和室に入るなり「畳のへりを踏んじゃだめだよ」とこどもたちから教えられ、ボランティアとスタッフは背筋がしゃんとしました。

部屋の中にはお茶を待つこどもが2人、きちんと正座をして静かに待っていました。

「お茶菓子を選んでね」と言われても「どれでもいいよ」という遠慮がちな言葉。いつもより改まっている様子が伺えました。

しかし、ボランティアさんがお抹茶と羊羹をいただく時になって「お抹茶と羊羹が、みそ汁とご飯にしか見えない」「いや、スープとパンにも見えてきた」と、こども同士で大笑いになり、場が和んでいきました。
※菓子切り(和菓子を食べるときに使うフォークのような道具)がなかったので、ボランティアさんは剥いた羊羹を手で持ち、かぶりつくしかなく、お抹茶にそぐわない作法になってしまっていたのです(笑)

お茶体験は人気があり、お昼までの2時間の間、席が空くことはほとんどありませんでした。

お抹茶は苦いイメージがありますが、美味しいと感じた子が多かったようです。
一口飲んでにっこり微笑んだ表情が、ボランティアやスタッフの印象に残っています。


もじゃくんの「お抹茶飲んでみる人~~」の声に、こどもたちの手が、勢いよく挙がりました。ひとりは「めちゃくちゃ濃いめ」をオーダー。はたして飲めるのか……


抹茶をたててくれているのは、まなべるいばしょに通う中学生。こどもたちもボランティアも、じっと様子を伺っています


お茶碗を回してから飲む・手を添えるなど、少しのレクチャーを受け、お抹茶をいただきました


体験したいけど他の子に見られたくない子のために、和室にいたこどもたちは別の部屋に移動し、その子が飲み終わるのを待ってくれる場面もありました。

お茶をたててご馳走したい子がいれば、交代でお茶をたてる場面も。
誰かのために丁寧にお茶をたてたり、お茶をたててくれた友達にご馳走様を言ったり、お茶会を通して、こどもたち同士が施し合う関係になり、新鮮な一日となりました。

終わり頃には、みんなが体験できたか気にしている子もいて、ボランティアやスタッフは、それぞれの子の気遣いをなんだか嬉しく感じました。


写真・文=松本 裕美枝(かけはしライター)