立場中央商店会の事務所で模型作りの話を聞いたのは、まなべるいばしょかけはしに通う中学生・小学生と、もじゃくん(代表廣瀬)の3名です。

 事務所の中にはたくさんの模型やスケッチがあり、作成の手順や工夫、模型のおもしろさなど、作成者の吉野さんに話を聞くことができました。

見本画像を印刷してあったり、図面が描かれていたり、次々とファイルがテーブルに広げられました。吉野さんは綿密に計画を立てて作成していることを説明してくれました。
吉野さん(写真中央)、もじゃくん(代表廣瀬・写真左)

模型講座はこどもの興味関心がきっかけ

 かけはしでは「下和泉地区の空き家を改築してコミュニティカフェを経営しよう」というプロジェクトが進行中です。もじゃくんが改築に携わるこどもの様子を見て、モノづくりが好きそうな2人のこどもに声をかけ、模型を作っている吉野さんとつなげたのが今回の講座でした。

 とは言っても、実はもじゃくんは吉野さんと知り合いだったわけではありません。モノづくりが好きなこどもが夢中になれそうなものはないかと、もじゃくんは考えを巡らせ、以前にタウンニュースで取り上げられていた吉野さんを思い出し、こどもたちと一緒にお話を聞ける機会を作りました。

こどもたちが「すごい!!!」と思わず声に出してしまう作品の数々

 会場に入るとまず目に飛び込んでくるのは「千と千尋の神隠し」湯屋の大型模型です。お話の世界からそっくりそのまま出てきたような湯屋は、存在感抜群でした。

「千と千尋の神隠し」湯屋。細かいところまで作り込まれていて、思わずため息が出てしまう大作です。

 こどもたちは吉野さんのお話を聞きながら、湯屋の模型の一部を手に取ってじっくり眺めていました。

 よく見てみると、何の素材を使ったのか、気になるものが出てきます。

 格子窓、カオナシが乗った列車、提灯など・・・・吉野さんは素材当てクイズを出し、私たちを悩ませました。「何を使って表現するかを考えることも楽しみの一つです」と吉野さんは教えてくれました。

「千と千尋の神隠し」湯屋。細かいところまで作り込まれていて、思わずため息が出てしまう大作です。

 また「細かいところに遊びを取り入れ、こだわることも模型のおもしろさです」と吉野さん。吉野さんのこだわりは随所に散りばめられていて、立場に実在する蕎麦屋の模型では、店舗を反対側からのぞくと、テーブルとイス、おしながきまで作られていました。

 和菓子屋の模型の店内にも、吉野さんの遊び心が満載でした。ショーケースに収められたお饅頭には値札があり、数十万円するお饅頭がいくつか陳列されていました。こどもたちはすかさず「おまんじゅうがこんなに高いわけないよー」とツッコミを入れていました。

立場に実在する蕎麦屋の模型。入口の反対側からは店内の様子も見られます。ショーケースにはたくさんの丼が並んでいます。
中田やいずみ中央など、実在する店舗の模型。こどもたちは模型の中に小さな発見をすると、嬉しそうに報告してくれました。

 図面を見たり、模型を見たり、ベニヤを切ったりと、あっという間に1時間半が経過しました。「作りたいものがあったら、また話を聞きにおいで」と吉野さんに言っていただきました。吉野さんによると「何事も基本を教わると、成功体験を早い時期に積むことができ、おもしろさに気づきやすい」そうです。

 こどもたちは、素敵すぎる作品の数々や吉野さんの温かい人柄に触れ、大満足の表情でした。

写真・文=松本 裕美枝